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2008年10月の3件の記事

シンポジウム 変容する「恋愛」意識

以下のようなシンポジウムに登壇します。
一般来聴歓迎、入場無料とのことです。

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変容する「恋愛」意識
第8回 早稲田大学ジェンダー研究所 主催シンポジウム

日時 2008年11月15日(土)13時30分(13時開場)~17時

場所 早稲田大学8号館B107教室(西早稲田キャンパス南門を入って左手)
(地下鉄東西線早稲田駅下車徒歩5分、またはJR・西武新宿高田馬場駅より都バス「早大正門前」下車)

【開催主旨】

ロマンチック・ラブ、対幻想、異性愛絶対主義……と、「恋愛」をめぐるテーマは、厄介かつ重要な問題群として、女性学やジェンダー論において長きにわたって取り上げられてきました。近年の日本に目を向けてみると、「恋愛」が生んでいるとされる諸現象が社会問題として注目され、男性ジェンダーの分析にも踏み込んだ考察の深化が求められているように思われます。

たとえば、「純愛」ブームに乗ってケータイ小説が爆発的に売れる一方、恋人間DVを扱ったテレビ・ドラマ「ラストフレンズ」が大きな反響をよび、暴力と密接に絡み合う「恋愛」の局面があからさまになりました。また今年6月に起きた秋葉原事件では、加害者の犯行動機に関心が集まり、格差社会におけるいわゆる「モテない男子」についての議論がさかんに行われています。

はたして、現代日本社会では「恋愛」はどこまで可能なのでしょうか。第8回を迎えた今回のシンポジウムでは、「恋愛」をめぐるこうした昨今の日本の現象に独自の切り口でアプローチする論者をお迎えします。パネリストたちの刺激に満ちた報告をもとに、会場の皆さんとの質疑応答も交え、活発な議論が展開されることを期待しています。

パネリスト

兵藤智佳
「恋愛と暴力」曖昧な境界について――早大生によるデートDV啓発ムービー製作からの一考察

澁谷知美
格差社会と非モテのゆくえ――00年代の若者の労働と恋愛

菅 聡子
恋愛小説の(不)可能性

パネリスト・プロフィール

兵藤 智佳(ひょうどう ちか)早稲田大学 平山郁夫記念ボランティアセンター 助教。

東京大学大学院教育学研究科博士課程満期退学。タイ国連人口基金国際フェロー、早稲田大学アジア・太平洋研究センター助手を経て現職。「経験や実践から紡がれる理論こそが社会の構造を変えることができる」と信じている活動家。専門は、保健医療とジェンダー。私の身体と心が「よい状態」であるということと社会との関係が活動の原点。日本や東南アジアでDVやHIV/エイズ問題に取り組みつつ、「支援されながら支援する実践」を目指している。

澁谷 知美(しぶや ともみ)東京経済大学専任講師。

1995年早稲田大学第一文学部卒業、2000年東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得満期退学。専門は教育社会学、テーマはジェンダー論、とくに男性の性の歴史。単著に『日本の童貞』(文藝春秋、2003)。共著に『性欲の文化史1』(講談社、2008)、『若者文化をどうみるか?』(アドバンテージサーバー、2008)など。早大時代に「どうしたらモテるようになるか」を研究する「モテ研」を組織するが、成果を出す前に解散。今回は「どうしたらモテるようになるか」ではなく「どうしたら非モテでもハッピーに生きられる社会になるか」を考察したい。

菅 聡子(かん さとこ)お茶の水女子大学教授。博士(人文科学)。

専門は、近現代日本文学。とくに、樋口一葉を中心とした女性表現を研究の対象とする。近年は、女性の国民化と女性表現、とくに文学的感傷の機制に焦点をあてて考察中。また、サブカルチャーにもひそかに関心を持っている。ミステリー小説のマニア。単著に『時代と女と樋口一葉』(NHKライブラリー、1999)、『メディアの時代―明治文学をめぐる状況』(双文社出版、2001)。編著に『日本女性文学大事典』(日本図書センター、2006)、『〈少女小説〉ワンダーランド』(明治書院、2008)など。

コーディネーター

三橋 順子(みつはし じゅんこ)早稲田大学ジェンダー研究所客員研究員
弓削 尚子(ゆげ なおこ)早稲田大学法学部准教授、同ジェンダー研究所研究員

お問い合わせ先 早稲田大学ジェンダー研究所:小林富久子(TEL:03-5286-1536)

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マジ旨あらびき

「マジ旨あらびき」
伊藤ハムが、シアン混入水で製造してしまったため、回収している商品のひとつだ。
「この名前でいこう!」
と会議で決定した時にはこんなことになるとは予想していなかったのだろうが、それにしても“浮かれた”ネーミングだ。

ギョーザ事件のときに生協が回収した中国製冷凍食品にも“浮かれた”商品名があった。
「とろ~り煮込んだロールキャベツ」
手間ひまかけてじっくり煮込みましたよ、というニュアンスを出すためにあえて普通の長音ではなく「~」を付したのだと思われるが、「~」がかもしだす浮ついた感じが、今となっては不謹慎さを増長する。

今回のようなことがあると、浮かれ度が高ければ高いほど不謹慎な感じになるから、「食の安全」が脅かされつつある今、商品の名前を付けるのもたいへんだ。
あの商品やこの商品は大丈夫か、他人事ながら心配してしまう。

浮かれた名称の商品が回収されることを報じる記事を読むと、脳裏に浮かぶイメージがある。
頭にネクタイを巻いているサラリーマンが、忘年会で上司に怒られている場面だ。

なぜサラリーマンかというと、記事にはたいてい、謝罪している企業の人たちの写真も載っているからだと思う。

サラリーマンは、アルコールが入って浮かれていた。浮かれついでに頭にネクタイを巻いて、「勝手にシンドバッド」を振り付きで歌った。
興がのって、座っている上司のハゲ頭をに股間を押し当てた。そして「胸さわぎの……」のところで腰をグラインドさせてしまった。
上司はカンカン。「キミねー!」と大目玉を食らう。

浮かれていなければ怒られなかったかもしれない。
シラフでやったのだったら、上司は気味悪がって「なんで?」と聞き返すにとどまるだろう。
浮かれて何かをやって失敗すると、浮かれずに失敗した場合よりも、他者の非難を呼びこみやすくなる。

「マジ旨あらびき」や「とろ~り煮込んだロールキャベツ」も、「旨いあらびき」「煮込みロールキャベツ」ぐらいの名前であれば、ここまで不謹慎な感じをただよわせることはなかったように思う。

とはいえ、浮かれたネーミングが嫌いなわけではない。
会議で「“マジ旨あらびき”でいきましょう!」と盛り上がっていた時には予想もしなかった問題が、のちに持ちあがる。
「人生、一寸先は闇」という厳粛な事実を思いださせてくれる点で、むしろ好きだ。

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杉浦日向子さん特集と『性欲の文化史』

NHKで放送していた『コメディー お江戸でござる』での杉浦日向子さんのきもの姿にめっぽう憧れていて、どれくらい憧れていたかというと、夕食時に家族で番組を見ていて「あたしもこんなふうにきもの着て、人前で話ができるようになりたいよう」とダメ院生のわたしが身の程知らずに放言すれば、「褒めて育てる」が信条の母が「努力すればなれるかもよ」と励まし、現実をよくわきまえた父が「言うだけならタダ」と冷や水をあびせる、というやりとりが毎週繰り広げられていたくらい、憧れていました。

なので、本日発売の『ユリイカ 総特集 杉浦日向子』に書かせていただけたことは、ほんとうに嬉しいことでした。

すべての寄稿が杉浦さんと作品への愛にあふれています。杉浦さんと親しくしていた方がたの回想録もたっぷり収録されていて、わたしの他にも居るにちがいない「いつかはナマ杉浦さんにお目にかかりたかったが、それがかなわなかった人たち」を癒してくれます。
とりわけ、写真家の御令兄の手になる幼少期からのフォトグラフと、回想録がすばらしいです。

そんな充実した作品群において、杉浦さんの人物や作品ではなく「きもの姿」について一度も謦咳に接したことのない者がアレコレ云う拙稿は、場違いなこと甚だしいのですが、関係者の皆さまにはなにとぞご寛恕をいただき、御興味のある向きにはお目通しをいただければ、ありがたく存じます。

本日はまた、共同研究の成果『性欲の文化史1』(講談社選書メチエ)の発売日でもあります。女装の男娼、妊婦の胎内をモチーフにした見世物、ラブドール(ダッチワイフのすごく進化したもの)など、興味ぶかいトピックがてんこ盛りです。こちらも、よろしくお願いします。

Sugi_2 ■ ユリイカ 2008年10月臨時増刊号 総特集 杉浦日向子
定価 本体1238円+税
青土社
ISBN 978-4-7917-0184-1

もくじは コチラ



Seiyoku_4 ■ 性欲の文化史 1 講談社選書メチエ424
井上 章一編著
定価 本体1600円+税
B6判259頁
講談社
ISBN 978-4-06-258424-1
洋装下着を流行らせたのは、ほんとうに勤労女性だったのか?
なぜ戦前の男子学生は「したくてもじっと我慢」でいなければならなかったのか?
歴史の陰に、性あり。
人間の本質を見ずして、ほんとうの歴史は語れないのだ!
大本教から球体関節人形まで、「魏志倭人伝」の日本女性論から女装男娼まで、時代も地域も縦横無尽に論じ尽くす、珠玉の論考集。
(カバー解説より)

= 目  次 =

まえがき――文化のなかに性を読む (井上章一)

1. 遊廓の形成と近代日本――「囲い込み」と取締り (永井良和)

2. 性教育はなぜ男子学生に禁欲を説いたか―― 一九一〇-四〇年代の花柳病言説 (澁谷知美)

3. 出口王仁三郎の恋愛観・男女観――『霊界物語』を中心として (原 武史)

4. 日本女性は不淫不妬?――中華文人の日本風俗観察小史 (唐 権)

5. 女装男娼のテクニックとセクシュアリティ (三橋順子)

6. 「胎内十月」の見世物を追って (川井ゆう)

7. 「人体模倣」における生と死と性 (西村大志) 

8. 兄妹性交の回避と禁止 (露木玲、青木健一)

あとがき (井上章一)

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