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マジ旨あらびき

「マジ旨あらびき」
伊藤ハムが、シアン混入水で製造してしまったため、回収している商品のひとつだ。
「この名前でいこう!」
と会議で決定した時にはこんなことになるとは予想していなかったのだろうが、それにしても“浮かれた”ネーミングだ。

ギョーザ事件のときに生協が回収した中国製冷凍食品にも“浮かれた”商品名があった。
「とろ~り煮込んだロールキャベツ」
手間ひまかけてじっくり煮込みましたよ、というニュアンスを出すためにあえて普通の長音ではなく「~」を付したのだと思われるが、「~」がかもしだす浮ついた感じが、今となっては不謹慎さを増長する。

今回のようなことがあると、浮かれ度が高ければ高いほど不謹慎な感じになるから、「食の安全」が脅かされつつある今、商品の名前を付けるのもたいへんだ。
あの商品やこの商品は大丈夫か、他人事ながら心配してしまう。

浮かれた名称の商品が回収されることを報じる記事を読むと、脳裏に浮かぶイメージがある。
頭にネクタイを巻いているサラリーマンが、忘年会で上司に怒られている場面だ。

なぜサラリーマンかというと、記事にはたいてい、謝罪している企業の人たちの写真も載っているからだと思う。

サラリーマンは、アルコールが入って浮かれていた。浮かれついでに頭にネクタイを巻いて、「勝手にシンドバッド」を振り付きで歌った。
興がのって、座っている上司のハゲ頭をに股間を押し当てた。そして「胸さわぎの……」のところで腰をグラインドさせてしまった。
上司はカンカン。「キミねー!」と大目玉を食らう。

浮かれていなければ怒られなかったかもしれない。
シラフでやったのだったら、上司は気味悪がって「なんで?」と聞き返すにとどまるだろう。
浮かれて何かをやって失敗すると、浮かれずに失敗した場合よりも、他者の非難を呼びこみやすくなる。

「マジ旨あらびき」や「とろ~り煮込んだロールキャベツ」も、「旨いあらびき」「煮込みロールキャベツ」ぐらいの名前であれば、ここまで不謹慎な感じをただよわせることはなかったように思う。

とはいえ、浮かれたネーミングが嫌いなわけではない。
会議で「“マジ旨あらびき”でいきましょう!」と盛り上がっていた時には予想もしなかった問題が、のちに持ちあがる。
「人生、一寸先は闇」という厳粛な事実を思いださせてくれる点で、むしろ好きだ。

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