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アウトドア東方神起4 奇の巻

2009年のコンテンツ No.1 は間違いなくDVD『All about 東方神起 season 3』(以下オルアバ3)である。

9月に落手して以来、文字どおり毎日見ている。
すこしも飽きない。

わたしがもっとも好むのは、サイパンのホテルで今夜の寝床を決めるシーンだ。
決定権を握るジュンスがほかの4人に芸をやらせる。
芸がまずいと、ベランダで寝るはめになる。

「アジアのスター」の冠をかなぐり捨てて、4人は必死になって芸をする。
ユチョンの「10年ぶりに食事にありつけた顔」は、あまりに必死すぎたためか、放送禁止になっている。

サディスティックかつキュートに4人を手玉に取るジュンスもすばらしい。
飾らない人柄と、5人のチームワークの良さが垣間見える、ファンにはたまらない作品だ。

ただ、ここ最近、大好きなオルアバ3を心底楽しむことができない。
昨年の前半に撮影されたオルアバと、リアルタイムで見る彼らとの落差が、あまりに大きいからだ。

昨年12月以降、何度か歌番組に出ているが、表情がさえない。
風の噂によれば、事務所を訴えた3人と、残留する2人とが、話すのを禁止されているという。
携帯は止められ、楽屋には幕が引かれ、PV撮影時には3人と2人が話をしないよう監視が付けられた。

仕事仲間との強制的隔離。これ、一般的な職場でやったら、パワハラである。
なにより、無上の信頼感で結ばれた5人が分断されていることに、胸がしめつけられる思いがする。
オルアバ3の彼らが笑顔であればあるほど、「撮影時には今のような状態になるとは思ってなかったんだろうな」と考えてしまう。

東方神起は、うまくすれば数10年「持つ」アーティストである。
よい関係を築けば、長期間に渡って関係者に利益をもたらしてくれるだろう。

アーティストの意欲が出るような労働条件を提示し、「持続可能」な関係を築いていくのが賢いマネジメントのやり方だと思うのだが。
「使い捨て」は昔のやり方。ポスト成長期のビジネスモデルにそぐわない。



と、一席ぶったところで、アウトドア東方神起である。
2009年12月、「秘奇有天」の「奇」の字を求めて岡山を踏査した。

「満奇洞(まきどう)」という洞窟があるという。
なんでも与謝野晶子が「奇に満ちた洞」と詠んだのが名前の由来らしい(新見市サイトより)。

「奇」の字を写真に撮るだけなら、近場で済む。
目黒に「奇奇」というバーがあり、浦安に「独奇楽」という居酒屋がある。

が、この企画のコンセプトは「グレート徒労」だ。
なるべく遠く、なるべくインパクトがある場所に行きたい。

ということで岡山。東京から新幹線で3時間半かかる。
さらに岡山からJR山陽本線と伯備線を使って1時間半の井倉が今回の目的地だ。

岡山でさっそく足止めをくらう。電車の本数が少ないからだ。
駅構内の喫茶店で「名物トマトカレー」を食しながら1時間つぶす。

14時20分、新見行き普通列車に乗車。ドアの開閉はボタンで手動だ。
大きい荷物をロッカーに預けるのを忘れた。まぁ、井倉で預ければいいだろう。

30分もすると、車窓にうつる風景がだんだん野生味を増していく。
流れの早い大きな川がすぐ横に見え、切り立った山が視界に入ってくる。

予想以上の野生ぶりに、とまどう。
そういえば、精算は車内でするようだ。先頭車両にバスのような電光掲示板があって、回数券ごとに定められた料金を払うシステム。

ということは、改札は無人だろうか。

その予想は当たっていたのだった。井倉に降り立つと、キップを入れる箱があるだけ。
想像以上のカントリーぶりである。当然、ロッカーなどない。気温は岡山よりぐっと低い。

急いでバス停へ向かう。
満奇洞へのアクセスはバスが頼みの綱だ。

すると、1日3本であることが判明。
今は15時55時。最終バスはとっくに行ってしまっている。

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がくぜんとする。噂に聞く「地獄表」である。いつもはきちんと交通機関の連絡をリサーチした上で来るのだが、忙しさにかまけて確認を怠っていたのだった。

焦る。駅前でたった一つだけ開いていた食料品店に駆けこみ、「すみませんが、満奇洞までタクシーを呼んでいただけませんか」とお願いする。
店の主人は、他の客の商品を袋に入れながら、「タクシーは来ないよ。満奇洞へはバスだけだよ」とやんわり拒否。

参った。
岡山まで来て手ブラで帰るのか?!

駅舎に戻り、ダメもとで事務室をノックしてみる。
改札に人はいないが事務室はあり、電灯が点いていたのだった。
すると事務員さんが出てきてくれた。タクシーを呼んでいただけないか、お願いする。

快く応じていただき、なんとか事なきを得る。
ホっとした。事務員さん、ありがとう!

タクシーを待つ間、駅前に「満奇洞 車で30分」という看板を見つける。
「奇」の字は入っているのだから、この看板を撮ってしまえば、用は済んだことになる。
が、やはり現地で撮りたい。見なかったことにする。

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まもなく来たタクシーに乗る。
「どこから来たんですか」ぐらいは聞かれると思っていたが、同年代の男性ドライバーはなにも尋ねない。

ドライブするにつれ、さらに野生味を増す風景。
崖に取りつけられていた電光掲示板は「気温2度」を示していた。

ドライバーは相変わらず無言である。
横溝正史の『八つ墓村』や岩井志麻子の『ぼっけえ、きょうてえ』など岡山にちなんだ怖い話を急速に思い出し、緊張する。

緊張のドライブ30分ののち、夕暮れどきの駐車場へ到着。人っこひとりいない。
5分ほどかけて山をのぼり、満奇洞へ。

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看板を撮る。
中には入らなかった。アウトドア般若心経のみうら先生は、用事だけ済ませてサっと帰っていたからだ。このストイックさをアウトドア東方神起もまねたい。
中の様子を知りたい人は新見市サイトの写真を見てみてください。

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待たせていたタクシーに乗り、井倉駅にもどる。
岡山方面の電車が来るまできっかり1時間ある。
上り電車は1日に15本あるだけなのだった。

待合室にはわたし一人。
じっとしていると寒いので、うろ覚えの振りを付けながら、うろ覚えの韓国語で「Hug」と「呪文」を練習する。
外はすっかり暗くなり、窓ガラスが鏡がわりになるのだった。

2回づつ歌ったが、まだ12分しか経っていない。
遊び道具のない60分とは、なんと長いのだろうか。

そうこうしているうちに、コンビニで売ってる版の『ジョジョの奇妙な冒険』第3部を本棚に見つける。
これであっというまに時間がたった。

ホームで待っていた10代後半ぐらいの女子2名と、来た電車に乗りこむ。
ギャル系の一人は化粧直しに余念がなく、ナチュラル系の一人は携帯をいじっていた。
この人たちはどこに行くのかしらと考えながら、倉敷にも寄らず東京へ帰る。

これにて「奇」をゲット。

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(つづく)

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