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アウトドア東方神起 番外編 ――メンバーのふるさとを訪ねて1の1

名前は似ているが違う場所というのが、この地球上には存在する。

福岡県の春日(かすが)市と愛知県の春日井(かすがい)市は、名前は似ているが違う場所である。
春日の珍祭「嫁ごの尻たたき」を見に行こうとして、うっかり春日井に行ってしまい、地元の人にたずねれば、「はぁ?」ということになる。

地震のあったハイチに送った救援物資が、お笑い芸人ハライチの出身地であるところの埼玉県は原市(はらいち)に届いてしまえば、せっかくの善意がムダになる。



まぁ、ないだろうけどね、ハイチと原市の取り違えは。



けど、似た話というのは、ある。
今回は、そういうお話です。

※続きは「続きを読む」からどうぞ。

*******

東方神起メンバーのジュンスが、ソウルで上演されるミュージカル『モーツァルト!』に出演するという。
運良くチケットを手に入れたわたしは、ある計画を立てた。
ソウルで観劇するついでに、メンバーのふるさとを訪ねちゃおう、というものである。

わたしには、好きなスタァのふるさとを訪ねるという癖(へき)がある。
ふるさとは、あこがれの人が思春期を過ごし、人格形成をした土地だ。

どのような風景を目にし、どのような空気を吸って育ってきたのか。
それを確認することで、スタァと過去を共有できる気がする、のである。

これまで、リスペクトする芸人のふるさとを何カ所か訪ねた。

駅周辺や商店街などをざーっと歩いて、雰囲気を味わう。
そして、「この駅から養成所まで通っていたのだろうか」とか「この店に来たことあるのかしら」などと想像する。

それだけでオッケー。それだけで満足。
公表していないかぎり、実家をつきとめるなどという野暮なことはしない。

これを異国でしてはいけない理由はない。
今回は、グループ一の美人ジェジュン(以下JJ)の故郷を訪ねることに決めた。
というのも、JJ自ら、母親が営む食堂への行き方を、韓国のバラエティ番組で公表していたからだ。

ソウルから高速バスに乗り、公州(コンジュ)まで行く。
バスターミナルに着いたら、タクシーに乗り、JJの家まで、という。
それだけで着く、と。

なんとも心もとない方法だが、ネットで調べたところ、それで行けたという体験談を見つけた。
公州までは、ソウルからバスで1時間30分。
ショートトリップにはもってこいの距離である。

2月のすばらしい晴天のある日、ソウルは江南の高速ターミナルから公州に向けて出発した。
はじめてソウルから離れる。
遠くなるターミナルに小さく手をふる。

01_2

道は空いている。出発は11時45分だから、13時15分ごろに到着するだろう。

当てがわれたいちばん前の席からは、景色がよく見える。
山があり、田んぼがあり、民家がある。
日本の高速道路ぞいと、変わらない。

「JJもこの風景を見たのかな。
故郷を出る時、どんなことを思っていたのかな」

15歳でひとりでソウルに出てきたJJ。
家賃をやりくりするために物売りをし、映画のエキストラをして、苦労に苦労を重ねたJJ。
わたしの心のシアターには、JJヒストリーがダイジェスト版で上映されはじめていた。

出発してから、1時間30分が経った。
とっくに下道に移行していてもいい頃だが、バスはあいかわらず高速道路をつき進んでいる。

「あっれ~? 公州って、高速の出口ギリギリにあるのかな?」

そうこうしているうちに、バスはパーキングエリアに到着。
15分休憩だという。

疑問を抱きながら、いちおう、降りてみる。
雰囲気的には、日本のパーキングエリアと変わるところはない。

トイレがあり、売店がある。
ホットケーキ状のおやつにかぶりついているカップルがいる。
「オンマー、オンマー」といいながら母親を追っている子どもが、「車に気をつけて!」と注意されている。
ひと休みした乗用車が、目的地に向けてふたたび動きだそうとしている。

ある晴れた日の、どこにでもあるパーキングエリアの風景。
ひとつの狂いもなく、世界は順調に動いている。
なのに、自分だけがまちがった場所に来ている感じ。

その感じを抱いたまま、席に戻る。
そして、バスのチケットの行き先に書いてあるハングルを、電子辞書に打ちこんでみる。

「光州」

辞書の日本語訳は、バスの行き先をそのように告げていた。

(つづく) →1の2

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