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おすすめ論文 居神浩「ノンエリート大学生に伝えるべきこと」

人に教えてもらって読んだところ、とても面白かった、というか、泣けた論文。

居神 浩、2010「ノンエリート大学生に伝えるべきこと――「マージナル大学」の社会的意義」
『日本労働研究雑誌』602号、2010年9月号

いわゆるエリート校に所属しているのでないかぎり、すべての大学教員が読むべき一本だと思います。
学生の「雇用されうる能力」だけでなく「異議申し立て力」も育てるべしという指摘が、他の提言に比して優れています。

下位校であればあるほど、あらかじめポンプで学習動機という火を消しておいて(受験科目を少なくするなどにより)、入学させてから必死にマッチで火をつけようとする「逆マッチポンプ」の役割を演じなければならないという喩え(31頁)には泣けてきます。

今、私の勤務先の学部で「初年度教育をなんとかしよう」という取り組みが行われているのですが、学部レベルでゴチャゴチャやったってどうにもならんということですな。

以下、『日本労働研究雑誌』サイト掲載のサマリーです。

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ノンエリート大学生に伝えるべきこと
――「マージナル大学」の社会的意義

居神 浩(神戸国際大学経済学部教授)

 1990年代からの20年間にわが国の高等教育政策は「計画の時代」から「市場の時代」へと大きく方針転換した。その結果、選抜性の度合いを著しく低下させた大学を中心に、物事の理解力の点においても、あるいは他者と関係を結ぶ能力の点においても、実に多様な若者たちが大学生となりうる現象が生じた。それはかつてのように社会のエリートを輩出する機関としてのみ大学を論じることを困難にさせた。ここにノンエリートを社会に供給する機関としての大学を論じる新しい概念が必要になる。伝統的な大学群を「中核」と位置づけるならば、それに対して伝統的大学像ではまったく把握しえない「周辺」的な位置づけにある大学群を「マージナル大学」と概念化しておこう。

 マージナル大学の学生たちの発達的な多様性は、この社会におけるディーセントな仕事につける可能性を大きく減じさせている。ゆえにその卒業生たちの多くはノンエリートとしてのキャリア展開を余儀なくされることになる。かれらが少しでも多く社会からの承認を受けるような仕事につくために、マージナル大学の教員はどのような教育的貢献ができるのだろうか。本稿ではこの問いに対する教育現場からの答えとして、基礎学力の徹底した習得を通じて学生たちの「雇用可能性」を高めるとともに、ノンエリートとしてこの社会に対する正当な「異議申し立て」を行える力量を育てるべきことを主張してみたい。

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