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アウトドア東方神起番外編――サイパンのロケ地をたずねて2

【2日目】

 目がさめると、興奮のあまり一瞬忘れていた風邪が悪化していた。エアコンがガンガンに効いており、しかしエアコンを切ると部屋全体が結露するのでやめてくれという注意書きがあって、つけっぱなしにするしかなかったのだ(あとで知ったが、温度調節は可能だった)。毛布を1枚余計に借りたが、間に合わなかったようだ。

 エアコンの注意書きは英語、日本語、韓国語、そしてロシア語で書かれている。このホテルは韓国資本で、韓国からの観光客が多い。最近はロシアからもやって来ると、カロリニアン族の彼がいっていた。ドアに貼りつけられた「緊急避難時のご案内」は、英語、日本語、中国語、韓国語。中国からも人が来るらしい。

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 はじめて朝の戸外を見ておどろいた。見事なオーシャンビューである。昨晩はまったく気づかなかった。夢の国に来たのかと思う。

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 ホテル内の一番大きなレストランでビュッフェ形式の朝食をいただく。このレストランの奥にもう一つ部屋があり、小さなステージがあった。クラブメイツと彼らが、いまいちルールの良く分からないケンケンゲームをやったあの場所だ。日本の修学旅行生たちが食事を済ませた後のようだった。

 ホテル内を探検したかったが、体調が悪すぎたので、部屋にもどって寝る。

 昼ごろ、腹が減ってどうにもならなくなり、ノロノロと起きだして、Tシャツ、ジャージでホテル内の小さいほうのレストランへ向かう。ホテル周辺に飲食店は無く、かといって移動手段もないので(サイパン全土にわたってタクシー以外の公共交通機関が存在しない)、車を使わないかぎり食事はホテル内のレストランに頼るしかない。

 ホテルの敷地の大部分がプールであり、老いも若きもみな水着でそこいらを歩き回っている。レストランでも、水着に1枚ひっかけたぐらいの人が大勢いて、ドレスコードは無いに等しい(ただし、女性のトップレスは禁止と宿泊のしおりに書いてあった)。私のようなTシャツ、ジャージでも浮くことはない。

 
が、この滞在中、1人で来ている人を見ることはなく、その点では浮きまくっていた自信がある。ウエイターに人数を聞かれて、「1人」と答えたら、ちょっと驚かれた。家族づれ、またはカップルがこのホテルの主要な客層である。

 
客層ついでに付け加えておくと、経済階層的にいって「中の中」ぐらいの人たちがターゲットになっていると思われる。料金はそれなりにリーズナブル。高級レストランには行けないが家族で外食するぐらいの余裕はある、というような、ファミレスあたりに来る客層を狙っているといえばいいだろうか。じじつ、朝のビュッフェでは、小さい子に食事をさせるのに忙しいお母さん、ぐずる大きいほうの子どもに、無関心な父……といったファミレス的シーンが多数展開していた。

 
それから、一目で韓国のおばちゃんと分かる、たぶんブルーカラーの50代ぐらいのクルクルパーマの女性の団体も来ていて、水着姿で卓球に興じていた(年齢にしてはやたらスタイルがよく、日焼けしていたので、海女さんの団体だと勝手に思っている)。日本からの修学旅行も来ていた。要はそうした客層が来れるリゾートホテルである。もちろん、勤続4年目の大学教員も来れる。

 
話を小さいほうのレストランにもどす。メニューには、サンドイッチやフィッシュ&チップスなどの洋食に混ざって、日本風ラーメンやうどんや寿司、韓国の辛ラーメンや冷麺などが並んでいる。8ドルの冷麺を頼んだ。当たり前だが、「外国で食べる韓国料理の味」がした。

 
部屋にもどり、風邪なおしにつとめることにした。寝たり、起きたり、たまに日本から持ってきた原稿の直しをするなどしていた。

 
それにしても、部屋で何しようとも――ベッドやソファに寝っころがっても、椅子に座っても、ベランダに出ても、洗面所を使っても、タイルの床をはだしでペタペタ歩いても――彼らが使ったものと身体を接することができるのは、幸せである。自然と笑みがこみあげてくる。

 
夕方になり、部屋の奥にまで日が差し込みはじめた。光の入り方を見て、お昼のトーク編後半のそれを思いだした。

 
椅子を同じ配置にして、写真を撮った。ついでに、ベッドの上に小銭もバラけさせてみた。作品が撮影されたのは2009年の1月(*1)。季節が違うので、まったく同じ光の入り方ではないが、雰囲気は出ていると思う。

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夜。プールサイドの野外バーでは、飛び入り参加型のカラオケ大会が催されていた。英語や韓国語の歌が飛び交う。私も韓国語&踊りつきで「呪文」の一曲でも歌おうかと思ったが、度胸がなく、やめた。

 こういう、複数のナショナリティやエスニシティの人たちが集まる場所で場を沸かすことができたら最高にカッコいいのだけれど、その技術がない。井上章一さんは、ブラジルの観光客用のクラブで、さながらサーベルを持ったタイガー・ジェット・シンのように大暴れし、場を沸かせたという。翌日の空港でも、前夜同席していた外国人観光客から賛辞を得るほどだった。最高にゆかいなブラジル滞在記『ハゲとサンバとビキニの国』(新潮新書)に書いてある。今度、秘策を聞いてみよう。


 韓国語で「釜山港へ帰れ」を歌った60代ぐらいのおばちゃんがいた。さっきまで私の隣のテーブルで、家族とロシア語で会話をしていた人だ。歌い終えると、「私は韓国出身ですが、ロシアに長いこと住んでいます」と韓国語で自己紹介した。ほかのいくつかのファミリーとわいわいと来ていたうちの一人で、なんとなく羽振りのよい事業家のように見えた。彼女のバックグラウンドを知りたいと思いつつ、その晩はチャンミンのベッドで寝た。

(つづく)  →

  
(*1) 典拠はホテルの公式ブログ

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