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アウトドア東方神起番外編――サイパンのロケ地をたずねて1

 カレーもいいけどおせちもね!
 あ。逆だ(*1)。

 あけましておめでとうございます。澁谷です。今年もよろしくお願いします。
 
 サテ、昨年は東方神起のイラストで新年のご挨拶を差し上げましたが、新作は昨年末の『Life』でご覧に入れましたので、本年は昨秋に敢行した「聖地巡礼」のご報告をもって新年のご挨拶とさせてください。全3回でお送りします(1月2日訂正。やはり4回に分けまーす)。ムダに長いのでご注意。
 
 なお、この正月はどこにも行かず、学生複数名の論文のチェックと、締め切り間近の自分の論文と、正月あけの仕事のリサーチで終わる予定です。以下の報告を読んで、「遊んでばかりいて!」と怒る人がいたとしたら、それは違うのでひとつヨロシクお願いします。

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【1日目】

 「聖地巡礼」。それは、アーティストやアニメやマンガを愛する者が旅に出る理由。あるいは、インドア派がにわかアウトドア派に転向する契機。いずれにしても、ふだん外に出ない人間を外へと引っぱりだし、フレームの外にも世界が広がっていたことを体感させ、新たな作品解釈を可能にしてくれるナイスな機会である。

 マリンスポーツと海外ウェディングができる常夏の島(そしてかつて日本が植民地化した場所)として有名なサイパンに、一生縁がなさげなインドア派写経系女子の私が飛び立とうとしたのも、毎晩のように『All about 東方神起3』のサイパン編を見ていたからである。

 何度となく言及しているが、東方神起の仲の良さと、メンバーの気さくなキャラクターを雄弁に語る作品として、これに如くものはない。たぶん100回近く見ており、一部のセリフは暗記した。まだまだ初学者だが、私の韓国語のボキャブラリーの多くはこの作品から調達したものだ。「聖地巡礼」しないわけにはいかないだろう。

 水遊びをするメンバーのスイムスーツのロゴからロケ地のホテル名を、企画本から部屋のナンバーを割り出して、「この部屋に泊まりたいのだが」とホテルに連絡をとったのが夏。夏休みは学務やらなんやらでほとんど身動きが取れなかったので、10月の学園祭休みに敢行することにした。

 ホテルからきた返事は、「指定された部屋の確保に努力はするが、確約はできない」というものだった。ややがっかりしたが、同じホテルに投宿できるだけでもヨシとしようと、気を取り直した。

 数カ月が過ぎ、旅立ちの日をむかえた。この間、夏休みもふくめて真面目に働いた。体調も万全に整え、遅めの休暇を楽しもうとした……はずが、ひどいカゼをひいてしまった。ギャル演歌の登場人物のように震えが止まらない。

 成田からの飛行機の中、両隣が空いているのをいいことに3つの席を使って横たわっていた。「本日は和歌山県の○○高校の皆さんが搭乗されています」というアナウンスが遠く聞こえる。修学旅行らしい。和歌山から成田に来る交通費を考えても国内より海外のほうが安いのだろうな……と思いながらウトウトしていたら、あっというまにサイパンに到着した。

 冷たい秋風の吹く日本とはうってかわって、夜のサイパンはじっとりと蒸し暑かった。場違いな革ジャンを脱いで、ホテルからの迎えの車を探した。空港は日本の地方空港なみに小さく、スタッフにすぐに会うことができた。

 車中、「なぜ来たのか?」と、季節外れに1人で来た日本人にたいして誰もが抱くであろう質問を投げかけられた。トンバンシンギというサウスコリアのスーパースターがお宅のホテルでロケをしていたので、興味を持ち、来たのだと答えると、「つい先日も、どこかのスターがPVを撮っていた」とのこと。プロモーションのため、ホテルは定期的にロケ地として施設を貸し出しているらしい。私はそのプロモーションにまんまとひっかかったことになる。あはは。

 「サイパンの公用語は知ってる?」と問われたので、英語とチャモロ語ですよね、とDVDで得た知識で元気よく答えたら、「カロリニアン語もそうだよ。僕はカロリニアン族なんだ」と悲しそうにいわれた。申し訳ないことをした。無知は他人を傷つける。

 ものの数分でホテルに到着し、玄関に降りた時、早くも興奮でひっくり返りそうになった。まさしく新型セダンとオンボロ車で彼らが降り立った場所だからである。

 チェックインをして二度ひっくり返りそうになった。カードキーに記されているのが、熱望していたあの部屋の番号だったからだ。フロントに丁重にお礼をいい、部屋へ向かった。

 廊下が長い。構造的にその部屋はいちばんフロントから離れている。思わず小走りになる。今か今かと走って突きあたった先に、目的の部屋はあった。

11door

 ドキドキしながら、ドアを開ける。はじめて来るのに見慣れた風景が広がっていた。全部、同じだった。ユノがゆったりと腰掛けて「言葉より行動の人」とジュンスを評価した椅子と、長い脚をのせていたオットマン。ユチョンが座って「サランヘ☆」とハートマークを作り、チャンミンが前のめりに腰掛けて「ジュンス様は僕の宗教です」と「宣言」(*2) したソファ。趣旨はいいが課題に沿えなかったジェジュンが追いだされたベランダ。

 そして、ジュンスが身を沈めながら指令を出していたベッド! その隣にはチャンミンが獲得し、“Yeh! This is bed!” とはしゃいだベッドがある。どちらを選んでもメンバーと同じベッドに寝ることになる! ぎゃあぎゃあぎゃあ!

 高ぶる気持ちを沈めるために写真を撮影した。ベッド獲得ゲームのシーンとなるべく同じアングルで、同じ光量になるように注意をはらった。その結果が以下である。

12bed

13sofa

13bal

 ひとしきり写真を撮り終え、荷物を整理し、お茶をいただく。もう一度ぐるりと部屋を見渡した。部屋に到着した当初は「全部同じ」と思っていたのだが、写真を撮影している間に、何かがほんの少しだけ違う、と感じた。作中ではテレビ台の上にあった花がない、ということではない。そうではなくて、もうちょっと分かりにくい、小さな何か。

 それを確かめるために、日本から持参したDVDをパソコンで再生した。昼間のトーク編まで早送りする。気持ちがはやる。部屋の何が、作中の様子と違うのだろうか。

 違っていたのは、ジュンスのベッドの上に掲げられている絵だった。作中では、バックが水色に塗られた花の絵が掲げられている。が、現場のジュンスのベッドの上に掲げられているのは、黒をバックにした花の絵だった。

15picture_bed

 水色がバックの絵は現場ではソファの上に掲げられている。

16picture_sofa

 一瞬にして虚脱した。「違う部屋だったのだな……」。ホテルに連絡をした時、彼らが泊まったのは目当ての部屋をふくめて4部屋あった、と教えてもらっていた。ロケに使われたのは、この部屋ではなく別の3部屋のうちのどれかだったのだろう。

 たしかに企画本に載っていた部屋の番号はここで間違いない。が、何かの手違いで、本に掲載されていた情報じたいが間違っていたのかもしれない。

 「さっきの天にも昇る気持ちはいったい」「でも、同じホテルに泊まれるだけでヨシと最初は思っていたじゃないか」。いろいろな思いが交差する。

 そうこうしているうちに、DVDは、ユノがトックンイを肩にかけて部屋を出て行くシーンを再生していた。ユノがドアを開けた瞬間、私は思わず一時停止ボタンを押した。51分53秒の所である。

 ユノが開けたドアの向こうに廊下の風景が広がっていた。開いたドアの左側に柱が見え、その脇を通路がまっすぐに延びている。彼らが使用したという4部屋のうち、これと同じ風景がドアから見えるのは、建物の構造上、この部屋だけである。この部屋で「正解」だったのだ。

17door_out


 すっかりご機嫌がなおり、その夜はジュンスのベッドで寝た。なぜ絵の位置が異なるのか、フロントに確かめたかったが、英語でこみいった説明をするのが面倒で聞かなかった。同じ位置の違うフロアの部屋に泊まっている可能性もあったが、その可能性は私の中でないことにした。ただひたすら「彼らのいた部屋」の空気に包まれていたかった。

(つづく)  →

(*1) 堀井憲一郎さんの『『巨人の星』に必要なことはすべて人生から学んだ。あ。逆だ。』っていいタイトルだよね。

(*2)  某サイトで大人気の “You’re My Miracle” 空耳版より。あのシリーズ作った人、神。

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