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アウトドア東方神起番外編――サイパンのロケ地をたずねて4

 お忘れとは存じますが、今年の正月からお送りしている「アウトドア東方神起番外編」が完結していませんでした。今回は最終回をお送りします。過去の記事はこちらからどうぞ。

【4日目】

 ちゃんと時間が使える最後の日。体調もだいぶ戻ってきた。というわけで、しゃきしゃき動いた。まず、一番大きなレストランで朝食。韓国の20代ぐらいの美男美女カップルが、むっつりと押し黙って食事をしていた。昨晩のシーサイドグリルでドラマのワンシーンのように幸せそうにしていた二人である。夜になにかあったのだろうか。

カップルといえば、この日の夕食では、すごく痩せている夫と、そこそこ太っている妻の熟年韓国人カップルと同席した。この二人も食事中、ほとんど会話らしい会話をしなかった。凸凹コンビだし、会話もないが、惹かれあうものがあって一緒になっているのだろう。

 それから、第2回にも書いたように、小さい子に食事をさせるのに忙しいお母さんと、ぐずる大きいほうの子どもに、無関心な父……といった家族を滞在中、多数目撃した。こういう家族は、なんとなく殺伐とした空気を漂わせている。

 1組だけだが、お父さんも一緒になって子どもに食事をさせている家族を見た。この家族はうまくいっているように見える。同じように食事をしている複数の家族を並べて比較することにより、どんな男性をダンナに選ぶかで女性の人生のQOLがだいぶ違ってくることが体感的に理解できる。

 ……という感じで、旅に出ると、つい他人様の家族を観察してしまう。「家族批評」という単語が浮かんだ。なんか失礼なジャンルだ。

  「家族批評」をしてしまうのは、自分の専攻のせいなのか、自分が家族を持たないからなのか? おそらく、「家族批評してしまうこと」と「自分の専攻」と「自分が家族を持たないこと」の3者は、「家族を自明視しない」という私の指向性を独立変数とした従属変数である。そういう人間が家族がたくさんいる場所に身をおくと、ジャングルに来た生物学者のように、「おおっ、家族がいる!」という感じになって、ついつい観察してしまうのだと思われる。

 まぁ、独り者も世間からとやかく言われているわけだし――じじつ、凸凹夫婦に、「あの娘は一人で来ているのか」「そうらしい」的ヒソヒソ話をされた。食事中、彼らが唯一交わした会話である――お互い様だ。

 朝食後、まずはタクシーで15分ほどのラダービーチへ。DVD冒頭のクイズ大会を撮影した場所である。昨晩、DVDを一時停止したパソコンを見せながら、フロントに「ここがどこか分かりますか?」と訊ねておいたのだった。笑顔がステキな韓国系のフロント青年は、一発で「ラダービーチですね」と答えた。さすがプロフェッショナルである。

 タクシーに乗る時、先住民系と思われる初老のドアマンが案内してくれた。きれいな発音の日本語で「どちらにいらっしゃいますか」と私に訊ね、英語でドライバーに行き先を告げた。そして、「何か困ったことがあったらおっしゃって下さい」と、これまたこなれた日本語でいうのだった。一朝一夕のレッスンで身につく話し方ではない。かといって、年齢からいって、日本統治時代に教育を受けたわけでもないだろう。彼のバックグラウンドも知りたかった。

 タクシードライバーは30代ぐらいの陽気な男性で、たしかインド出身だった。杏里のファンだといって、車に積んだCDを私に見せた。今流れているのは、加藤ミリヤの曲だという。カバー範囲広すぎである。兄は五反田にインド料理の店を出しているそうだ。

 途中、青空を突きさすようにして鉄塔が並ぶ場所が見えた。旅行から帰ったあとの11月の TOHOSHINKI EXPO で知ったのだが、「Sky」のPVはサイパンで撮影されたという。11秒目、13秒目ほかに、ユチョンやユノが鉄塔を背にしたシーンがあるが、たぶんこの辺で撮影されている。今思えば、ビーチに至るまでの道路も、1分47秒目でジュンスが歌っている道路とよく似ていた。

 ラダービーチに到着。小学校のグランドぐらいの大きさで、撮影ポイントはすぐに分かった。なんとも美しい。

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脇にある階段を降りた所にビーチがあるが、降りることなく写真だけ撮って撤収。どんな観光地に行っても必要箇所の撮影のみして帰るのは、みうらじゅん先生が提唱するアウトドア般若心経の精神である。

 待たせていたタクシーでホテルに戻る。原稿をやろうかとも思ったが、せっかくなので、中心街に行ってみることにした。「必要箇所の撮影のみして帰る」とかいった傍からアレだが、こういうこともある。

 公共のバスはないが、ホテルから定期的に出る免税店行きの無料バスがあり、それで中心街に行くことができる。ロビーで待っていたら、バスが来るまでには時間があるのでタクシーをお使い下さいと、さきほどの初老のドアマンが勧めてくれた。これまた無料で行けるという。

 20分ほどで到着した免税店は見るだけ見て、近所を探検した。ガラパンと呼ばれるこの辺りは一番の中心街だというのに、そして、日曜日のお昼だというのに、あまり人通りがない。カンカン照りの日中に外出する阿呆はいないということなのか、そもそもこの辺りが観光地としてダメになりかけているのか。観光名所の一つであるパセオ・デ・マリアナ通りの空きテナントの数からいって、第二の可能性は皆無でない気がする。

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 お昼は、韓国料理の「ソウル苑」でプルコギ定食をいただく。ちゃんと韓国で食べる韓国料理の味がして、おいしかった。私のつたない韓国語に付き合ってくれたお姉さんも親切だった。日本語メニューに「プライドチキン」があったのもご愛嬌。誇り高きチキン野郎ということか。

 食後、DVDでも名前が出たマイクロ・ビーチの辺りを散歩。4人の子どもたちが手をつないで、「いっせーの、せっ!」で走り出す遊びをしていて、なんともなごむ。が、沖にはアメリカの海軍船が見える。「プライドチキン」なみの矛盾に満ちた「平和」な風景。

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 再び免税店発のバスでホテルへ帰る。

 ここで、マスコットの「シャッキー」について言及しておきたい。ディズニーランドのようにシャッキーの着ぐるみがあちこちに出没しているのかと思いきや、そんなことはなく、4日間の滞在を通してこの日の朝に1度見たきりだった。ハメルンの笛吹き男よろしく、大勢の子どもたちがこのマスコットの後を追っていた。メンバーたちがDVDの中でいじっている小さなぬいぐるみを求めて売店をのぞいたが、そこにもナシ。

 その代わり、アーチェリー場とドアに下げるサインにシャッキーのイラストが描かれていた。着ぐるみのシャッキーとはずいぶん雰囲気が違う。あまりかわいくない。

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 夕刻。夜営業開始直前のシーサイドグリルに写真撮影に行く。前夜に食事をしたさい、バルコニーを撮影させてもらえるよう、お願いしておいたのだった。バルコニーの向かって左側がメンバーが使った場所。ユノの卑屈な「ペゴパ」が聞こえてきそうだ。

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 バルコニーの反対側も撮影した。スタッフが東方神起の食事風景を見守る様子がDVDで一瞬映るが、スタッフはこの辺りに陣取っていた。あのシーンを見るたび、スタッフの数の多さに、彼らが「背負うもの」の大きさを思わずにいられない。そして、スタッフを気づかいながら食事をするジェジュンの人間性や、そういう気遣いができる人間へと彼を作り上げた環境についても、思いを馳せないわけにはいかない。

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 ついでながら、バルコニーからの眺めは最高によい。第3回にも書いたとおり、特別な場合以外には開放されない。

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 エンディングを撮影したビーチにも行った。ホテルがプライベートビーチとして占有している場所で、部屋のすぐ前である。想像していたよりも小さなビーチだった。ジェジュンがベランダに追いだされたさいに白いビーチチェアらしきものを使っていたが、おそらくここから借りてきたもの。

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 これにて主要な場所の撮影はすべて終了。カゼはいつのまにか治っていた。いろいろとヤル気も出てきた。原稿もすこし進んだ。これを東方神起の魔力といわずして何といおう。この夜は、再びチャンミンのベッドで眠りについた。

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 「聖地巡礼」の報告は以上で終わり。最後に、なぜ私は「聖地巡礼」をしたのか、自己分析をしてみたい。なんでもふりかえって分析したがるのは職業病である。

 「聖地巡礼」をした理由。それは、東方神起の「仲間割れ」についてさまざまなことを憶測するしかないなか、自分にとって確かなものを再確認したかったから、ということだと思われる。

 まだいろいろなことがあやふやだった2009年夏から2010年3月にかけて、ファンは五里霧中の混沌状況に投げ込まれていた。だが、2010年4月3日の「活動停止」宣言を経て2010年秋を迎えたころには、「あの時のアレはああいうことだったんだ」と、その間に起こったアレコレについて憶測がつくようになっていた。

 が、それはあくまで憶測に過ぎない。確かなものは何もない(*1)。そんななか、自分の心を揺り動かした「確かなもの」が本当にあったことを確認するために、現地に飛んだのだ。

 サイパンのあの場所で、彼らは類まれなる仲良しぶりを発揮し、「キャッキャ感」をふりまいていた。2人で車に乗れる嬉しさに鼻の下を伸ばすユノとユチョン、ベッド獲得ゲームで甘えるようにチャンミンの膝に頭を載せようとするJJ、そして、それを許さないチャンミン(笑)、南国の空気にヤられた感じで、妙な節をつけながら「いい判断を頼むよ~」とクライミング場でチャンミンに指示するジュンス……。なんかもう、幸せそうすぎて、泣けてくる。

 そんな幸福な休暇の終わりを告げるエンディングは切なさのあまり見ることができず、いまだに「Crazy Love」前奏の手前で停止ボタンを押すのが常だ。すくなくとも2009年1月の撮影時点において彼らの間にゆるぎない絆があったことは、「確たる事実」として私の中で認識されている。

 今回の旅は、そうした事実が確かにあったということを、じっさいにその舞台に足を運ぶことで再度確認する意味があった。そのことは、「東方神起は絶対5人に戻る」という言葉に根拠がないのと同じくらい、「東方神起は絶対5人に戻らない」という言葉に根拠がないことを自分自身に言い聞かせる営みでもあった。

(おわり)

 (*1) 「確かなもの」について一言。2010年3月以前の混沌状況において、多くのファンが、「本人たちの口から現状について語ってほしい」と望んでいた。2011年1月の東方神起アルバム発売をむかえ、本人たちは、相互の陣営の批判という形で「語り」だした。ある意味、ファンの望みではあり、「ホンネ丸出し感」も満載なのに、なーんか上っつらのセリフに思えるのは、言ってることとやってることが矛盾しているから(インタビューで「幸せです」といった傍から、ツイッターで相手方への恨みつらみを投げかけるなど)だろうか? ともあれ、「本人たちの口から語られること」イコール「確かなこと」では必ずしもないことを、我々は学んだほうがよさそうだ(「必ずしも」を挿入。2月11日午前11時20分)。

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