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西武の東方神起ポスターを論じてK-POPアイドルの「韓国っぽさ」の解禁に至る(メモ)

 『文化系トークラジオ Life』番外編「トモミ&ミチヨのK-POP in Japan」 3・4部の配信が始まりました! 速水健朗さん(ライター)、塚越健司さん(社会学者、KARAファン)、瀧坂亮さん(音楽ライター)、大澤聡さん(メディア史研究、韓流ドラマファン)も加わり、K-POP、ドラマ、映画から、韓国と日本の社会のあり方にまで話が広がりました。よろしくお願いします!

 → 3部 http://p.tl/B-SF
 → 4部 http://p.tl/BYCb

 さて、調子にのってイラストを描きました。このコンビは、左がツッコミで右がボケです。ツッコミの人は描き方失敗しました。ボケの人はまぁ及第点かと(この絵の背景については4月9日エントリ参照)。

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 それにしても、元ネタ「韓流 美・味 展」ポスターの素敵さといったら! 私は媒体としてのポスターが大好きで、普段の生活でも注視していますし、古今東西のポスター展に足を運ぶなどして結構いろいろ見ているつもりですが、これほど激しくポスター魂をゆさぶられたことはありません。東方神起のキャラクターと美しさを浮かび上がらせながら、しかし、西武百貨店の広告に特有の格とテイスト――「静かな躍動感」みたいなもの――をしっかりとふまえつつ、韓国物産展の広告媒体としての機能をきちんと果たしている点がすばらしいです。

 有名アーティストの広告への起用は諸刃の剣といわれます。目立つのはいいのですが、広報すべき対象よりもアーティストのほうが全面に出てしまい、伝えるべきメッセージが消費者に届かないことがあるからです。が、ここではみごとに両者のバランスが取れている。アーティスト出演の広告として出色の出来です(←えらそう)。

 1980年代の「おいしい生活」キャンペーンにウディ・アレンを起用し、広告史に残るインパクトを与えた西武百貨店の面目躍如といったところでしょうか。アートディレクションはどなたなんでしょうね?

 しつこいですが、ポスター販売熱烈希望! 私は西武に要望を出しました。同じ気持ちの皆さんは、さあ、ここから(→西武百貨店「お客様の声BOX」へ)。

 さて、日本デビュー当初の東方神起が、J-POP 歌手として売り出されたことは周知の事実。韓流雑誌の取材は受けない等、徹底的に「韓国っぽさ」を消して活動していました。

 それからすると、韓国物産展のキャラクターになり、来週12日に発売の『FRaU』5月号韓国特集の表紙に出演する現在は、まさに隔世の感。

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 Podcast「トモミ&ミチヨの K-POP in Japan」Part1 でも話していますが(→音源はコチラ)、むしろ韓国色を出したほうがウケがいいと、ある時点で関係者は気づいたんでしょうね。いいことだと思います。

 で、「東方神起の韓国っぽさ」について、1月中に書きたかったんだけど、いいそびれて、4月の今メモていどに書きとどめておきたいことがあります。それは、"왜 (ウェー/なぜ)"の日本語版である2011年1月発売の「Why? ~Keep Your Head Down」の歌詞についてです。

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 お気づきの方も多いと思いますが(すでにどなたかが指摘なさっていたら教えて下さい)、日本の東方神起(とうほうしんき)の作品としては初めて韓国語の単語が入っています。コーラスの "왜(ウェー)" の所です。それ以前の日本の東方神起の曲には韓国語の単語はまったく入っていませんでした。

 そういえば、Super Junior-T の"로꾸거 (ロクゴ/逆に)!!!" を「65(ロクゴ)!」にするという、韓国語の音はそのままに、意味を日本語化するという離れ業も2008年に見られました。当時のレコード制作者にとって、韓国語はぜったい日本語歌に入れてはいけないものだったことがうかがえます。

 2010年12月の『文化系トークラジオ Life』外伝でも申し上げましたが(*1)、変化が見えるのが2010年です。管見のかぎりでは、日本版K-POPへの韓国語単語の挿入は、この年から女子アイドル発信で開始しました。具体的には、KARAの「ミスター」日本語版における "똑딱 똑딱"、"자꾸 자꾸" や、少女時代の「Gee」日本語版における「ハセヨ」、"진짜?" などの挿入です。

 2010年まで、韓国語の挿入は、女子はいいが男子はダメだった(2010年までの日本デビューした男子アイドルの曲を全てリサーチする必要があるものの)。確証はまだありませんが、この現象の背景には、「かわいい女の子の外国人が外国語をしゃべっているぶんにはほほえましいが、男性の外国人が外国語をしゃべっているのはなんか怖い」というジェンダー変数をはさんだゼノフォビア(外国人ぎらい)があったような気がしてなりません(*2)。

 が、女子アイドルから解禁したこの流れは、じょじょに広がっていき、ついに男子アイドルの大物・東方神起にも達しました。完璧に "왜 (ウェー)" とコーラスしているのに、歌詞カードには「(why?)」と表記し、「制作者の意向により一部韓国語で歌唱しております」と注意書きを載せるアンバレンツさ――だったら歌詞カードにも "왜" と韓国語で書けばいいのに――はあるとはいえ、です。

 新人男子アイドルSM☆SHの4月末発売予定の日本語シングル「Do it Do it !」のCMには、英語の "Do it Do it !"、日本語の「ドゥイ ドゥイ!」と合わせて、ハングルの "두잇 두잇!" というキャプションが登場します。2年前だったらおそらく無かった現象なんじゃないかと思います。

 が、思えば、ファン・コミュニティでは、「アンニョン(こんにちは)」、「コマウォ(ありがとう)」、「ミアネ(ごめんね)」、「ポゴシッポ(会いたい)」、「サランヘ(愛してる)」、「サジン(写真)」、「チェゴ(最高)」、「オットケ(どうしよう)」、「パボ(バカ)」、「ヒョン、オッパ(兄さん)」、「オンニ、ヌナ(姉さん)」、「マンネ(末っ子)」、「ヨロブン(皆さん)」などのカタカナ表記の韓国語単語が、発言者の語学レベルを問わず日常的に多用されており、韓国語が受け入れられる土壌はばっちりあるのでした。2月26日エントリに書いた K-POP クラブイベントでも「ヨロブーン、アンニョンハセヨ」と日本語ネイティブであろうMCが当たり前のようにあいさつし、観客も「アンニョンハセヨ」と返していました。

 というか、韓国語OKです、というのを通り越して、むしろ、韓国語で歌ってくれなきゃという声も日本ファンの間には多い。西森さんも『K-POPがアジアを制覇する』でそう指摘していますし、あるブロガーさんは、Super Junior が本格日本デビューをすると聞いた日本のファンが、「日本語でなんて歌ってほしくない」と発言していたのを耳にしたといいます(*3)。

 こうした現象は2000年代半ばからあるようで、K-POP伝道師であるDJの古家正亨さんも、「どうして日本語で歌うのか? 韓国語のほうがいい」という指摘のメールが古家さんのラジオ番組にたくさん来るようになったと、2005年の著書で書いています(古家正亨著、Inter FM 編2005『K GENERATION  K POPのすべて』)。

 話をもとに戻します。まとめると、

1) K-POPアイドルの「韓国っぽさ」の押し出しは、抑制から解禁の道をたどっているように見える。

2) 歌詞における変化のポイントは2010年、女子アイドル発信だったと考えられる(4/11「歌詞における」を補足)。

という話でした。あやふやな所もあるので、もうちょい調べてみたいと思います。

(*1) 『文化系トークラジオ Life』2010年12月26日放送「文化系大忘年会2010」(外伝1)にて。音源はコチラ

(*2) この発言を上記外伝でしたさいに、「方言の女の子がカワイイみたいなはなしもかんけいあるのか」という秀逸なツイートをリスナーの方がしてくださいました。それ、関係あるかもしれません。標準的な言語を話せないことによって、ある特定の年齢層/ジェンダーに位置する人が醸しだす「かわいらしさ」にかんしては、「日本語が拙いことのかわいらしさ」問題と相通じるものがあります。外国人アイドルの日本語拙い問題にかんして、「トモミ&ミチヨの K-POP in Japan」Part3で、速水健朗さん、塚越健司さん、瀧坂亮さん、大澤聡さんも交じえながら議論しています。→音源はコチラ

(*3) のん氏ブログ『NONE STYLE』2月21日記事「もう少しまともにスパショ録」より(→コチラ)。もっとも、ブログ主ののんさんは、「私なら自分の好きな人たちが自分の母国語である日本語で歌を歌ってくれるなんて嬉しい以外のなにものでもない」という立場であり、ファンの意見もいろいろです。

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