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原発労働者を38年間取材してきた樋口健二さんの講演会のお知らせ――司会は澁谷だよ

※このエントリはしばらくトップに表示されます。

 もう一つお知らせです。東京経済大学にて報道写真家・樋口健二さんの講演会と写真展を行うことになりました。司会はわたくし澁谷がつとめさせていただきます(チラシ写真はクリックで拡大。ちなみにコピーとデザインもわたくし)。学外の方も歓迎です。

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【チラシPDF版。A4サイズカラー。256KB→ 「chirashi110601.pdf」をダウンロード

題目: 樋口健二氏講演会・写真展
    原発はなぜ危険か――写真家が追った現場38年

日時: 2011年6月1日(水)16時20分~17時50分

場所: 東京経済大学国分寺キャンパスK101教室
    JR・西武線国分寺駅より徒歩13分 →駅からのアクセスマップ

主催:東京経済大学全学共通教育センター
共催:東京経済大学21世紀教養プログラム

入場無料。講演会終了後、懇親会(要会費)あり。著書販売予定あり。   

 樋口健二さんは、1970年代はじめから底辺で働く原発労働者を撮影・取材してきた今年74歳になられる写真家です(プロフィールを文末に載せます)。

 ドイツを拠点とするNGO世界核ヒアリング会議の「核のない未来賞」を受賞されたこともあり、世界的に有名。今回の原発事故にかんしても『ワシントンポスト』他の一流紙の取材を受けたり、ドイツのウェブマガジンに寄稿したり、フランスのウェブマガジンに発言が引用されたりしました(*1)。

 そんなワールドフェイマスな写真家ですが、しかし、ご存じの方は少ないと思います。そのこと自体が日本社会がこれまでとってきた原発報道にたいする一つの態度を示しているといえましょう。

 なんつってエラソーな口をきく私も、樋口さんのお仕事は2005年7月にはじめて知りました。原発問題にはまったく無知でしたが、ひょんなきっかけで、樋口さんのギャラリートークを聴くことになったのです(その経緯についてはのちほど記事にアップします)。

 そのトークたるや、真顔ボケが随所にはさみこまれるモーレツに面白いもので(*2)、高度な笑いのセンスをお持ちだということはすぐに分かりました。私はすっかり樋口さんのファンになってしまい、『樋口健二写真集成‘66-‘05』にサインをいただいたり、好きな人には自分のことを知ってもらいたい中2病ですから、拙著を差し上げて快く受け取っていただいたりしました。

 語り口が面白いだけではありませんでした。樋口さんのトークの強みは、なんといっても「写真」があること。炉内をはいずりまわる労働者の写真を見て、はじめて「原子力発電所って“人”が働いているんだ!」とリアリティを持つことができたのです(写真はクリックで拡大)。

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 なにしろ、私が持っていた原子力発電所のイメージは、コンピュータの操作盤の前に数人が座って見守っているというアレでしたから。原発はコンピュータが動かしていると思っていました。1999年の東海村JCO事故で被曝して亡くなった労働者がいたことは知っていましたが、それは事故であって、例外だと思っていたのです。

 が、じっさいは、平常時でも炉内で作業をし、高度の放射線にさらされ、命を落としたり、健康をそこなう労働者がいる。自分が電気を使うことで、そうした犠牲が生じることを知り、いてもたってもいられない気持ちになりました。誰かに包丁を渡されて「あの労働者殺してきて」といわれたら断るのに、電気を使って同じことを間接的にやっていたとは!

 その後は、「ひとり反原発運動」ですよ。家族や友人に「いかに原発がいやなエネルギーか」を語って、「そうはいっても必要なんだから」と軽くかわされたり、福島出身の先輩に、「やっぱ原発ダメっすよ」と議論をふっかけて、「そんなこといったって地元には原発産業で暮らしてる人がいるんだ。電気を使ってる東京の人にいわれてもね」といわれて黙ってしまったり(今なら「これまではゴメンだけど、これからは使いたくないんです。もっと他の産業でやってけるように手伝います」と返しますが)、2007年4月発行の『手帖』というミニコミにこんな文章を載せたりしました(*3)。

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テーマ「収入」

 樋口健二さんの『闇に消される原発被曝者』を読み、気になった。原発で働く人の男女比はどれくらいなのか。経産省に聞くも、把握していないという。が、妊婦が原発まわりの仕事につくことを制限する法の存在を教えられた。(*)女にとって危険な仕事は男にとっても危険だという意見に賛同する。げんに原発で働く多くの男性が健康被害を受けている。過労死寸前のサラリーマン含め、「女なみの保護」を求めて、男はもっと怒っていい。

 *電離放射線傷害防止規則第6条
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 2007年度の授業で原発問題を取りあげたこともあり。が、私の取りあげ方が下手クソだったせいでしょう。反応がイマイチで、私もやる気がなくなって、それっきりになってしまいました。

 で、今回の事故。もっとちゃんと、あきらめずに「ひとり反原運動」を続けておけばよかったと後悔することしきりです。

 今からでも挽回を、ということで、今回の講演会を企画したしだい。私が受けた樋口さんのトークの衝撃を、学生さんや他の方々にも受け取っていただきたいです。入場無料。終了後には樋口さんを囲んでのプチ懇親会もあります(要会費)。それから、樋口さんの本の販売もする予定なのでお小遣いを多めに持ってきてね。まだ販売する本のリストが届いていないのですが、もしかしたら絶版になった本も販売するかもしれません(*4)。

 皆さまお誘いあわせのうえご来場ください。

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樋口健二さんプロフィール
1937年長野県生まれ。報道写真家。1974年、国連主催世界環境写真コンテストで四日市公害の報道写真が入賞。1973年から原発労働者の被曝問題について取材、写真発表、1981年から講演会を各地で行う。2001年、ドイツを拠点とするNGO世界核ヒアリング会議の「核のない未来賞」教育部門賞受賞。写真集に、『原発・1973~1995年』、『樋口健二報道写真集成 日本列島 ‘66-‘05』など多数、著書に『売れない写真家になるには』、『これが原発だ カメラがとらえた被曝者』、『闇に消される原発被曝者』など多数。1996年に写真展『四季・武蔵国分寺』を国分寺Lホールで開催している。
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 (*1) The Washington Post 2011年4月21日記事 "In Japan, new attention for longtime anti-nuclear activist" →コチラ
 ドイツのウェブマガジン MAGDA への樋口さんの寄稿 "Erwartungen? Nein!: Fukushima sprengt schon jetzt die Vorstellungskraft aller"→コチラ。掲載日は明記されていないが内容から3月11日~4月10日の間と見られる。
 フランスのウェブマガジン Mouton Noir 2011年4月21日記事 "Des mendiants, esclaves nucléaires au Japon" への発言の引用 →コチラ
 「核のない未来賞」受賞者紹介サイトの樋口さんのページ(英語)→コチラ
 ついでに、樋口さんが取材した「隠された被爆労働:日本の原発労働者」のビデオ。1995年イギリスチャンネル4にて放送(日本語音声、英語キャプション)→コチラ

 (*2) 樋口さんの語り口がおもしろいという感想は、早川タダノリ氏ブログ『虚構の皇国 blog』2011年4月1日エントリ「樋口健二さんの書籍を今すぐ再版すべき」のコメント欄にもあり。→コチラ

 (*3) このミニコミについては、ちょうど4年前の2007年5月21日の当ブログエントリでも紹介しています。→コチラ

 (*4) ちなみに樋口さんの絶版本は、原発事故後、古本市場で高騰中。たとえばAmazonマーケットプレイスにて『闇に消される原発被曝者』の1981年三一書房版が36,000~49,500円とか(5月21日現在。5/23追記→数年前に見た時は1万円代だったと記憶しています)。もとの定価はせいぜい2000円ぐらいでは? 2003年に御茶の水書房から復刊された時は定価2520円でした。

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