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2012年3月の2件の記事

【避難所】「みんな顔見知りですからガハハ」的な環境と被害者を黙らせる環境は表裏一体

 下記の『毎日新聞』記事を読んだ。「3人が被害にあったことは避難所の公然の秘密のようになっていた」ってのが気持ち悪い。映画『ビー・デビル』を思いだした(*1)。

 今回の記事で明らかになった問題点は、

 ・避難所は女・子どもにとって危険な場所である。「避難所からの避難」が必要なレベルだ。

 ・夜間常駐する自治体職員はアテにならない。

この2つ。さらに3つ目として以下の点が加わる。

  ・顔見知りが多いことが、むしろ被害者を黙らせる。

 「避難所メンバーはみんな顔見知り/家族みたいなものですから(暴力など起こりませんよ。ガハハ)」的なことを男性リーダーが語りたがる環境(*2)と、性犯罪の被害者を黙らせる環境とは表裏一体だということを3つ目は示唆している。「みんな顔見知り/家族だよね~」という同調圧力の強い場所で構成員の暴力を告発すれば、告発した者のほうが「和」(いま流行りの「絆」でもよい)を乱した者として責められる。そういう場所で被害を告発するのは至難の業である。

 問題点を克服するために、何をすべきか。長期の避難所ぐらしをしなくてすむような条件を整備するのは当然として(*3)、今後は、女・子どもの避難所と、中学生以上の男の避難所を完全に分けるべきだ。家族がバラバラになるって? ならないよ。昼間に会えばすむ話である。

 そして、長期的にやるべきは次のことがら。暴力の傍観者もまた加害者だという認識を社会全体で共有する。暴力を選ばないですませる方法を男性に教える。女・子どもを被害から遠ざける方法を実践するのも大事だけど、上記のこともする。

 ……って言われ続けてもう30年ぐらい経つような。気がついた人がやらなきゃいけないんだよね。本で書いたり、日々の授業などで話したり、ちょっとづつ自分もやってるつもりだけど、多勢に無勢だから、まったく間に合わない(*4)。


  (*1) 原題 "김복남 살인사건의 전말(キム・ボクナム殺人事件の顛末)"。チャン・チョルス監督、2010年韓国。ネタバレ満載かつ分かりやすいブロガーさんの解説はこちら

 (*2) たとえばこんな環境。「宮城県のある避難所では、衝立の資材は届いたそうですが、男性リーダーの「ここはみんな家族だから衝立などいらんですよね」の一言に反対もできず、着替え等は布団の中で行ったそうです」(『くしろ男女いきいき参画通信』37号、2011年12月26日1頁。→リンク)。

 「避難所を運営する男性たちの判断によって、避難所に間仕切りを設けることはコミュニティの団結上好ましくないとか〔中略〕女性の切実な願いが否定されてしまう場面がしばしばあるといいます」(「避難所暮らし 女性の状況改善を」NHK『視点・論点』2011年5月23日。→リンク)。

 避難所に間仕切りを好意で持って行ったら、「誰が持ってこいと言ったんだ」と男性2人に怒られたという宮大工の話もあり(読売オンライン/読売新聞 2011年5月26日。→リンク

 「潜在的な加害者」と見られた時の男性の反撃ぶりはすごいよね。「間仕切り持ってきた→ 避難所の男性は覗きをする潜在的な加害者であると宮大工に思われている」という認識が男性2人の側にあったのではないかと邪推するんだが。

 この邪推が正しければ、男性2人が駆使したのは、「東大話法」の「規則6 自分の問題を隠すために、同種の問題を持つ人を、力いっぱい批判する」(安冨歩『原発危機と「東大話法」』136頁ほか)のバリアントとして考えることができそう。「自分の問題を隠すために、問題の潜在性を示唆/指摘してくる人を、力いっぱい批判する」というものだ。

 「ここはみんな家族だから衝立などいらんですよね」、「避難所に間仕切りを設けることはコミュニティの団結上好ましくない」というセリフも批判の形こそ取っていないが、自分の問題を隠蔽するための方便なのかもしれない。

 それにしても、上記セリフを述べる男性リーダーの家庭では、年頃の娘が父親の前で堂々と着替えたり、父親が自身の下半身を娘に見せながら着替えたりしているんだろうか。それで家族の「団結」力を高めたりしているんだろうか。私にとってそんな環境は「家庭」ではなく「地獄」だが。

 (*3) たとえば、日本全国にあらかじめ仮設住宅を作っておき、被災者がすみやかに移動できるシステムを構築しておいたり、空いている住居や宿泊施設を被災者が無償で手軽に利用できる仕組みがもっとたくさんあれば、そもそも長期の避難所ぐらしをしなくてすむ。

 「住民が各地に散ると、精神的サポートにもなりうる地域の人間関係が壊れるのでよくない」というのであれば、地域ごと避難できるような大規模なインフラを作っておけばよい。重要なのは、避難期間中の被災者のプライバシーと精神衛生の確保。「だだっぴろい体育館で男女ごちゃまぜで雑魚寝する」避難所ぐらしでは、それが達成できないことはもう十分すぎるほど分かった。それなら、他の方法を模索するしかない。

 記事では仮設住宅での暴力も問題になっている。仮設住宅やそれに準ずる施設での暴力は、別の方法で対応する。とにかく、数カ月に渡る/男女ごちゃまぜの/避難所利用ありきの発想はもうやめるべき。

 (*4) 私が書いた関連記事に「被災地の性犯罪はデマ、にどう対抗するか」WEBRONZA、2011年7月1日。全文読むにはお金が必要。→リンク。 (以下 3/4 16時追記) 男が暴力と手を切るための方法や、暴力を見聞きした第三者がとるべき態度については、澁谷著『平成オトコ塾 悩める男子のための全6章』(筑摩書房)の第4章に書いています(追記おわり)。


------------- 以下、一部引用 ---------------

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【原発】須賀川・郡山で二週連続、保養・避難の相談会を開催!(3/3・3/10)

(追記 3/3 21時) こんなツイート見つけました。当たり前ですが、避難した全福島県民が差別を受けているわけではありません(Aさんが差別されている事実は、Bさんが差別されていない事実を打ち消さない。逆もまたしかり)。差別を受けることなく暮らしている人の体験談を聞いたり、差別についての不安を解消するためにこそ、こういうイベントが活用できると思います。

1

(以上、追記おわり)

 放射能汚染地帯から避難したり、いったん離れて保養したい人のための相談会が、今度は福島県の須賀川市・郡山市で行われます。私の同僚の早尾さんが問い合わせ先になっています。

 必要な方に情報が届くよう、関心のあるお知り合いに転送していただいたり、ご自身のブログに転載していただくなど、宣伝にご協力をお願いします。

---------------以下転送・転載大歓迎----------------

◆須賀川・郡山で二週連続、保養・避難の相談会を開催!

 3月3日=須賀川市
 時間:11時~15時
 場所:須賀川市中央公民館(須賀川市八幡町134)

 3月10日=郡山市
 時間:13時~17時
 場所:ビッグアイ市民プラザ(郡山市駅前2-11-1)
  (「原発いらない地球のつどい」のなか
   http://onna100nin.seesaa.net/article/251821076.html

 福島からの人を受け入れている各地の団体が、須賀川・郡山で、春休みや週末・連休の保養などについて説明します。
 避難・移住の相談にも乗ります。
 抱えている悩みや不安についてのお話も伺います。
 ご家族でも、お子さんとでも、おひとりでも、ご来場ください。
(同じ会場でお子さんを遊ばせながらお話が出来ます。)
 放射能汚染地から離れたところでほよ~んと心と身体を休めて、元気を充電しませんか?

◆その他よろずのご相談、お待ちしています~。

よくある相談内容

・保養や避難、防御について、家族の理解が得られない。
・温度差があって、放射能の心配を誰にも打ち明けられない。
・保養や避難に興味があるが、具体的にどうしたらいいか分からない。

◆相談会参加予定団体

 3日須賀川=札幌・むすびば(北海道)、旭川サポネット(北海道)、母子週末保養プロジェクトちいさなたび(宮城)、毎週末山形(山形)、いのち・むすびば(山梨)、放射能から子どもを守る会・日豊(福岡)、など。

 10日(郡山)=母子疎開ネットワークhahako(全国)、旭川サポネット(北海道)、東北ヘルプ(宮城)、国際自然大学校(栃木)、四三ひろば 福島?山梨つながるネット(山梨)、京都避難者支援ネットワーク(京都)、など。

 主催: 子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク
      http://kodomofukushima.net/

 問い合わせ: 早尾貴紀 p-sabbar@mrg.biglobe.ne.jp

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