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2013年1月の5件の記事

丸刈りの女の子が謝罪させられている件について

 AKBメンバー峯岸みなみが恋愛禁止の禁をやぶって、「みずから」 丸坊主になり、その姿で謝罪する様子が YouTube で流されているという事態に、もぉーーーっのすごい「やっぱりね感」を感じている(この動画)。

 私が韓国に来てほっとしたことの一つに、日本にいるといやがおうでも目につくAKBの表象から逃れられたことがある。今回の件で、AKBの表象から立ちのぼるあの「いやな感じ」はたんなる思い過ごしではないことを確認した。

 右のえりあしにまだ長い毛が残っている「雑に刈られた感じ」や、涙ながらに謝罪する姿が、もう気持ち悪くてしょうがない。もちろん気持ち悪いのは、彼女本人ではない。彼女のバックにいる大人と、彼女がこういう形で表に出ることに疑問を持たないファンが透けて見えるから気持ち悪い。YouTube には「峯岸みなみからのメッセージをお届けします」と書かれているんだが、「お届けします」とかなにシレっと書いてんだよ、と思う。

 これは人権侵害ではないか? という意見に私も同意する。シェルターにかくまったほうがいいのでは。ホロコーストのガス室で殺される前の女が、髪を刈られたエピソードを思い出した。DV被害者がむしろ自分を責めるって話も思い出した。

 そして、丸刈りの女の子が謝罪させられることと、四肢のない女の子の絵が美術館にかざられること(→前エントリ)は、同じ社会問題のちがう表出形態のような気がしている。まだ正確に言語化できないけれど。女の子の商品化はずっと以前からあることだ。だが、ここ3年ぐらい、ものすごい速さで「度」を越しつつあるような気がしている。

 「気持ち悪い」とか、「いやな感じ」とかいった感情的な表現に、思考の怠慢を見る向きは見るがよい。不感症よりはマシである。2次元と3次元では話がちがうだろ、というご指摘も結構です。ちがう次元で表出するおなじ欲望について私は問題化したい。

 ◆今後でてくる “かもしれない” 陳腐な意見 (もう出ているかもしれないが)

 「たとえ強いられたルールや環境のなかであっても、立派に生きぬく彼女の主体性を評価すべき。システムによる強制と服従という型にはまった見方は傲慢であり、差別的」(アイドル評論家 30代 男性)

 「理不尽な環境を耐えて、サバイバルする。そして自分が悪いと思ったら素直に謝罪する。私たちと同じなんだなぁって思いました。今までAKBって男の人のものだと思ってたけど、親近感がわきました」(会社員 20代 女性)

 ◆ 2/1 追記

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会田誠の絵も、それがアートになる社会も醜悪である (署名募集あり)

(以下 3/13 追記)

 緊急集会やります。澁谷はペーパー参加します。
 「緊急集会:これでいいのか? 森美術館問題 ―活動報告、論点・争点、今後に向けて」
 3/13 (水・祝)13:30-  東京ウィメンズプラザ2階・第1会議室
 くわしくは こちら

(以上追記おわり)


 たとえば、その絵の作者が、虐待を受けてきた女性だとしたら、彼女が生きてきた世界を表現したものだという解釈が成り立つであろう。そんな世界への異議申立ととらえることができるだろう。

  が、じっさいの作者は、「美少女」という文字を前にオナニーしているらしき自身の写真を公開している男性である。上記の解釈はムリである。

 なんの話かというと、森美術館で開催中の会田誠展にかざられている絵の話である。四肢を切断され、首輪でつながれた裸の女の子が犬のように吠えていたり、上目づかいでほほえんだりしている。切断された先には包帯が巻かれており、血がにじんでいる。

 私は本当に気持ち悪いと思った。この絵も、この絵が「アート」として美術館にかざられる社会も。なにが気持ち悪いかって、虐待を受け入れる女の子にムラムラする男の欲望が気持ち悪い。そんな欲望の産物を「いやー、ゲージツですなぁ」、「ゼンエーですなぁ」とほくほくしながら展示する美術館、受け入れる観客、分かっていながら見過ごす人たちががっちりスクラム組んでいる様が気持ち悪い。たんなる会田個人の欲望じゃないってことだ(★1)。欲望は承認されているということだ。

 今回の展示はそうした欲望――女を裸にして痛めつけたい、女の手足をもぎたい、でも元気で笑っていてほしい、ボクを恨まないでほしい等々――を公共空間で表現することを肯定するものである。特定の宗教、民族、性別を攻撃したいという欲望を表現することは社会常識(国によっては法でも)でいちおう禁じられている。だが、現実には野ばなしで、特定の性別を脅かす表現が日本でやむことはない。女は憎悪されている。知ってたけど、こうもはっきり示されるとね。血の気が引く思いだ。社会にたいする信頼がゆらぎそうだ。

 そうした欲望を公共空間でおおっぴらに表明されますとね、女である私は恐怖を感じるんですよ。セクハラ、痴漢、強姦など女にたいする暴力がこの世に一件もなければ、恐怖は感じない。たんなる阿呆のファンタジーでこの絵は済む(★2)。また、会田が自分の日記帳に描いているだけであれば、問題はない。だが、現実はそうではないからね。すごく脅かされた気になる。

 表現の自由は大事だ。とりわけ、見るひとの気持ちを逆なでする表現はアートの生命線だと思っている。じっさいに兵士として戦場におもむき、帰還後に戦争とその結末を描いたオットー・ディクスはそういう表現をした。1922年の「負傷した元軍人」は顔の半分がもげている男性の肖像画である。ざくろのようにパックリ割れた傷口が、かつて目があった場所からくちびるにかけて広がっている(この絵)。

 中沢啓治のマンガ『はだしのゲン』もそうだ。戦場で負傷して帰ってきた元兵士が寝たきりになっている。四肢が断たれ、包帯で全身ぐるぐる巻きである。その様子は「芋虫」と表現されている。傷口にウジがびっしりとわいている人も出てきた。小学生の時に見て、あまりに衝撃的で、しばらく1人で眠ることができなかった。1回しか読んでいないのに、30年近くたった今でも覚えている。

 ディクスも、中沢も、本当に「気持ち悪い」表現をしている。だが、それは、(アーティストの創意工夫も加味されつつの)戦争の現実の気持ち悪さが反映された結果である。そして、表現には必然性があった。反戦をうったえるために、人ごろしを繰りかえさないために、戦争の「気持ち悪さ」を伝える必然性があったのだ。

 だが、会田はどうだろう。ある種の男の性欲の気持ち悪さを表現し、「こういう欲望のありかたに反対します!」といっているのだろうか? 森美術館サイトのインタビューを読んだがそんな記述はなかった。かわりに、上記のオナニー写真があることを知った。四肢を切断された女の子に欲情する野郎なんだな、という以外の解釈を持てない。そして、この絵をアートとして掲げ、入場料をとっている森美術館はその種の欲望を肯定しているんだな、と判断せざるをえない。

 表現の自由は大事だ。だが、なにを表現してもいいわけではない。女を虐待したい欲望が公共空間で表現され、肯定されてよい理由はない。


--------- 以下、反対署名についての告知 ---------

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『文化系トークラジオ Life のやり方』に参加。1/27 イベントもあり(私は出られませんが)

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 『文化系トークラジオ Life のやり方』()がソウルに届きました。TBSラジオでド深夜に月1でやってる番組の内容と関係者へのインタビューをまとめた本です。

 ご存じないかたにお話すると、澁谷はこの番組にたまに出させてもらってたんだよね。軽快なおしゃべりとこじゃれた音楽でお送りする……という一般的なラジオ番組のイメージとはかけはなれた、「どうやって休日を過ごすか」などの答えの出ないテーマについて、言論界では若手だけど世間的には中年の人たちが5時間ぐらい(!)グダグダ話しあう番組です。でも根強い人気があってなんだかんだで7年ぐらい続いています。

 明日27日(日)に新宿で刊行記念イベントがあるそうなのでお時間ある方はお運びください。下に情報はりつけます。私は出られないんですけど。

 1章の長谷川裕プロデューサーによる誕生秘話は読みこんじゃいますね。かくもマイナーな番組が続いている理由が分かりました。番組収録では「クリスマス資本論」がおもしろい。チャーリーが指摘するとおり震災前の空気が残っていてなつかしい気持ちに。

 私のプロフ写真がブサイクだということと、イベントの副題に「僕たち」が入ってること(リスナーにも出演者にも女子いるのに。昨年出たNHKニッポンのジレンマ本のオビにも「僕ら」って付いててさー。女子もいる言論のフィールドで男性たちが「僕ら」といいたがる理由が知りたい)以外は最高の本だと思いますのでぜひ。

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週刊金曜日 1/25 に「芸能事務所社員の給料で見る韓流」

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 本日発売の『週刊金曜日』1月25日号(928号)は、金曜日としてはめずらしい韓流特集。澁谷は「芸能事務所社員の給料で見る韓流」という文章を書きました。韓国には芸能事務所ビッグ3というのがありまして、そこの職員の年収を紹介した記事が昨年 K-POP ファンの間で話題になったんですが、これをサムソン、ヒュンダイなどの大企業の職員の年収と比較してみました。ゆうても芸能事務所って中小企業なんだなぁというのが感想です。

 表紙は江南スタイルでおなじみのPSYさんです。PSYの何がおどろいたかって、売り上げよりなにより、私より年下だったということです。

 週刊金曜日 特集 好韓流で行こう! もくじ→ http://bit.ly/W5iaie 

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WEBRONZA 1/22 に「「体罰は犯罪です」ポスターを学校に貼れ」

 本日の WEBRONZA の特集は、「桜宮高バスケ部主将の自殺と体罰」。澁谷は「「体罰は犯罪です」ポスターを学校に貼れ」という文章を書きました。途中までなら無料で読めますので、お時間とご関心ございますれば。

 それから、告知し忘れていたのですが、昨年10月に、「竹島=独島騒動を韓国で体験してみれば」という文章も書きました。

 体罰→ http://bit.ly/TeeOLr  竹島=独島→ http://bit.ly/Tef1y7

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