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会田誠の絵も、それがアートになる社会も醜悪である (署名募集あり)

(以下 3/13 追記)

 緊急集会やります。澁谷はペーパー参加します。
 「緊急集会:これでいいのか? 森美術館問題 ―活動報告、論点・争点、今後に向けて」
 3/13 (水・祝)13:30-  東京ウィメンズプラザ2階・第1会議室
 くわしくは こちら

(以上追記おわり)


 たとえば、その絵の作者が、虐待を受けてきた女性だとしたら、彼女が生きてきた世界を表現したものだという解釈が成り立つであろう。そんな世界への異議申立ととらえることができるだろう。

  が、じっさいの作者は、「美少女」という文字を前にオナニーしているらしき自身の写真を公開している男性である。上記の解釈はムリである。

 なんの話かというと、森美術館で開催中の会田誠展にかざられている絵の話である。四肢を切断され、首輪でつながれた裸の女の子が犬のように吠えていたり、上目づかいでほほえんだりしている。切断された先には包帯が巻かれており、血がにじんでいる。

 私は本当に気持ち悪いと思った。この絵も、この絵が「アート」として美術館にかざられる社会も。なにが気持ち悪いかって、虐待を受け入れる女の子にムラムラする男の欲望が気持ち悪い。そんな欲望の産物を「いやー、ゲージツですなぁ」、「ゼンエーですなぁ」とほくほくしながら展示する美術館、受け入れる観客、分かっていながら見過ごす人たちががっちりスクラム組んでいる様が気持ち悪い。たんなる会田個人の欲望じゃないってことだ(★1)。欲望は承認されているということだ。

 今回の展示はそうした欲望――女を裸にして痛めつけたい、女の手足をもぎたい、でも元気で笑っていてほしい、ボクを恨まないでほしい等々――を公共空間で表現することを肯定するものである。特定の宗教、民族、性別を攻撃したいという欲望を表現することは社会常識(国によっては法でも)でいちおう禁じられている。だが、現実には野ばなしで、特定の性別を脅かす表現が日本でやむことはない。女は憎悪されている。知ってたけど、こうもはっきり示されるとね。血の気が引く思いだ。社会にたいする信頼がゆらぎそうだ。

 そうした欲望を公共空間でおおっぴらに表明されますとね、女である私は恐怖を感じるんですよ。セクハラ、痴漢、強姦など女にたいする暴力がこの世に一件もなければ、恐怖は感じない。たんなる阿呆のファンタジーでこの絵は済む(★2)。また、会田が自分の日記帳に描いているだけであれば、問題はない。だが、現実はそうではないからね。すごく脅かされた気になる。

 表現の自由は大事だ。とりわけ、見るひとの気持ちを逆なでする表現はアートの生命線だと思っている。じっさいに兵士として戦場におもむき、帰還後に戦争とその結末を描いたオットー・ディクスはそういう表現をした。1922年の「負傷した元軍人」は顔の半分がもげている男性の肖像画である。ざくろのようにパックリ割れた傷口が、かつて目があった場所からくちびるにかけて広がっている(この絵)。

 中沢啓治のマンガ『はだしのゲン』もそうだ。戦場で負傷して帰ってきた元兵士が寝たきりになっている。四肢が断たれ、包帯で全身ぐるぐる巻きである。その様子は「芋虫」と表現されている。傷口にウジがびっしりとわいている人も出てきた。小学生の時に見て、あまりに衝撃的で、しばらく1人で眠ることができなかった。1回しか読んでいないのに、30年近くたった今でも覚えている。

 ディクスも、中沢も、本当に「気持ち悪い」表現をしている。だが、それは、(アーティストの創意工夫も加味されつつの)戦争の現実の気持ち悪さが反映された結果である。そして、表現には必然性があった。反戦をうったえるために、人ごろしを繰りかえさないために、戦争の「気持ち悪さ」を伝える必然性があったのだ。

 だが、会田はどうだろう。ある種の男の性欲の気持ち悪さを表現し、「こういう欲望のありかたに反対します!」といっているのだろうか? 森美術館サイトのインタビューを読んだがそんな記述はなかった。かわりに、上記のオナニー写真があることを知った。四肢を切断された女の子に欲情する野郎なんだな、という以外の解釈を持てない。そして、この絵をアートとして掲げ、入場料をとっている森美術館はその種の欲望を肯定しているんだな、と判断せざるをえない。

 表現の自由は大事だ。だが、なにを表現してもいいわけではない。女を虐待したい欲望が公共空間で表現され、肯定されてよい理由はない。


--------- 以下、反対署名についての告知 ---------

 宮本節子さんという方が署名運動を開始されました。1月31日までです。この種の運動にまったく慣れていないそうです。が、見すごすことができず、個人ではじめたとのこと。

 彼女の考えは次の Word ファイルに示されています。「mori_museum.doc」をダウンロード

 一部分でも同意される方は、ぜひご協力ください。私も署名しました。一字一句、すべてに共感しなくては署名できない、ということではありません。また、実名を出したくない人は出さなくてもいいそうです。

 ご本人の承諾のもと、以下に趣旨文の一部を貼りつけます。

:::::::::::::::

みなさまへ

 目下、六本木の森美術館にて行われている展覧会には女性、ひいては人間の尊厳と品位を凌辱するとんでもない‘作品’が展示されています。看過できないことなので、 私、宮本節子個人の名において、抗議しようと考えています。森美術館館長宛の抗議 文を添付文書を作成しました。賛同される方は、下記の方法及び事情をご了解の上、お知らせ下さい。

1 抗議賛成者の名前送信先

  (2/1 署名終了により、削除しました) 

2 連絡内容

  氏名 (都道府県名 所属又は職業、またはその両方)

  特に男性の方々、お声を寄せて下さい!!!これは男性の問題なのです!

  ○実名を出すにはハードルが高いが賛意は示したいという方へ

  「≪諸般の事情により実名を出せないがみやもとの抗議に賛同する≫。

  ・職業など + 一言メッセージ
  ・・・・・・
  ・・・・  」

  実在の人物であるという意味合いで、一般的な職業(会社員とか主婦)と一言だけの メッセージは必要だと思います

3 期限:1月31日にします。

  展覧会は3月31日までなのでことは急ぎます。

4 抗議賛同者が集まったあとのアクション

 (1) 2月1日名簿、を整理し、美術館館長宛に配達証明付きで郵送します。

 (2) 同時に、賛同者の名前を削除し、賛同者○○名とした文書を私の知っている限りの報道関係記者に送付します。

7 その他

 なお、このような行動は私にとって初めてのことで、どのように展開していくのか予測もつかないところがあります。私の限りでは守秘いたしますが、文案にありますように、寄せられたお名前は森美術館に提出されます。従って、森美術館がどのように扱うかはわかりません。不確定要素の多い行動であることを御承知の上、ご賛同ください。

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以下、このブログのエントリの注

 ★1 というか、会田以前から、女の子を虐待して欲情する感性のありかた、そういう欲望を満たすイメージはAVやポルノなどに掃いて捨てるほど存在する。会田はすでにあるものにのっかったのにすぎない。余所で感性とイメージを学習し、再生産したのだ。感性やイメージは伝染するということと、会田が天才でもなんでもないことを示している。展覧会の名前は「会田誠展:天才でごめんなさい」。

 ★2 ここでいう恐怖については、以下の沼崎一郎によるヘイトスピーチの説明に出てくるものと同じ。

  「特定の集団に対し、脅威と恐怖を感じさせる言葉がヘイトスピーチです」、

  「ヘイトスピーチが実際に脅威と恐怖を感じさせるのは、同時に、少数ではあれ、しばしば生命の危険を伴う身体的攻撃が行われているからである。物理的な暴力が現実に行使されているから、言葉の暴力が脅威となり、恐怖を呼び起こすのである」、

  「セクハラ、痴漢、強姦が日常的に行われているから、言葉だけでも、女性を蔑視し、攻撃するぞと脅すヘイトスピーチは、現実味を持った恐怖感を与え、女性にとって脅威となる。単なる言葉の問題ではないのだ。他のマイノリティについても、同じである」

  (出所:togatter「ヘイトスピーチや表現の自由に関する論考、金明秀(han_org)氏と沼崎一郎(Ichy_Numa)氏のtweetを中心に」2011年11月23日。リンク http://togetter.com/li/217821

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